共生星みずがめ座R

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    Symbiotic Binary Star R Aquarii

     

    ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTが撮影した共生星みずがめ座Rの画像です。系外惑星探索用にVLTに設置された観測装置SPHEREの試験観測で得られたものです。

     

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    共生星とは赤色巨星と白色矮星の連星系のことをいいます。みずがめ座Rの赤色巨星はミラ型の長周期変光星で、周期的に膨張したり縮小したりすることによって明るさが変化しています。赤色巨星の外層のガスは白色矮星に引っ張られ、白色矮星の周囲に降着円盤を形成しています。降着円盤とは垂直方向にジェットが放出されています。下の画像はみずがめ座Rの想像イラストです。

     

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    SPHEREは非常に観測精度の高い装置で、ハッブル宇宙望遠鏡を上回る解像度の画像が得られました。下の画像左はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したみずがめ座Rです。中心の明るい部分から上下に伸びている筋がジェット、横方向のリングは1773年に起こった新星爆発の残骸です。下の画像右はみずがめ座Rの中心領域で、VLTの画像と同じ領域が示されています。この画像とVLTの画像を比べてみると、SPHEREの観測能力の高さが分かります。

     

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    VLTの画像では中心部にひときわ明るい点が2つ、はっきりと見えてきます。

     

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    この画像に関するSchmidらの論文を読んでみると、左側の点が赤色巨星の位置、右側の点がジェットの放出源、すなわち白色矮星の位置にあたります。みずがめ座Rの連星系がSPHEREによって初めて分離して観測されたことになります。


    2019年の主な天文現象

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      Astronomical Calendar 2019

       

      2019年もさまざまな天体ショーを楽しむことができます。

       

      すでに肉眼で見えている46/Pウィルタネン彗星は元旦には5等級の明るさです。

       

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      16日には全国で部分日食がみられます。

       

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      717日には西日本でわずかですが部分月食が見られます。

       

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      1226日には全国で部分日食が見られます。

       

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      2020111日に地球に最接近する289/Pブランパン彗星は1231日には4等級になります。

       

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      11

      46/Pウィルタネン彗星が肉眼光度(5等級)

      16

      全国で午前中に部分日食(東京での食分0.42

      16

      金星が西方最大離角(明け方の東天で明けの明星)

      121

      アメリカ方面で皆既月食(北日本で半影月食)

      21

      夜明け前の東天で細い月と金星が接近(南米で金星食)

      49

      ヒアデス星団の食(夕方の西天)

      529

      準惑星ケレスが衝(さそり座で7.0等)

      611

      木星が衝(へびつかい座)

      616

      準惑星ケレスの食(月齢は12、ケレスは7.4等)

      74

      火星食(昼間の現象)

      710

      土星が衝(いて座)

      717

      部分月食(西日本で月入帯食のみ)

      81

      金星食(新月)

      813

      ペルセウス座流星群が極大(月没後は好条件)

      813

      金星が外合(以後は夕方の西天で宵の明星)

      94

      火星が合(以後は2020106日の準大接近へ向け接近開始)

      910

      海王星が衝(みずがめ座φ星に大接近)

      913

      中秋の名月

      1028

      天王星が衝(おひつじ座)

      117

      くじら座の長周期変光星ミラが極大

      1111~12

      アメリカ方面で水星の日面経過(日本では見えない)

      1120

      289/Pブランパン彗星(8等級)とみずがめ座の惑星状星雲NGC7293が接近

      1215

      ふたご座流星群が極大(月明がある)

      1226

      全国で部分日食(東南アジアで金環日食)

      1229

      夕空で月(月齢2.9)と金星が大接近(南極で金星食)

      1231

      289/Pブランパン彗星が4等級の肉眼彗星に

      2020111

      289/Pブランパン彗星(4等級)が地球に最接近(0.091天文単位)

       

      天体写真家の藤井旭さんから送っていただいた「2019年天文現象カレンダー」に掲載されている情報を使わせていただきました。


      ベツレヘムの星とは何だったのか

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        What was the Star of Bethlehem?

         

        この季節、街のいたるところにクリスマスのイルミネーションが見られます。クリスマスツリーの一番上に飾られる星は、イエスが生まれたときに出現したベツレヘムの星です。下はプラド美術館所蔵のヒエロニムス・ボス作『東方三博士の礼拝』です。イエスを抱くマリアのいる小屋の上に明るい星が描かれています。

         

        20181222_02.jpg

         

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        この星の正体が何であったのかについては、昔からいろいろな説があります。

         

        下のルネサンス初期の画家、ジョット(12671337)の『東方三博士の礼拝』(部分)では、イエスの生まれた小屋の上に彗星が描かれています。

         

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        この彗星は76年周期のハレー彗星で、ジョットがこの絵を描く少し前の1301年に出現しました。ジョットがハレー彗星を実際に見たかどうかは定かではありませんが、少なくとも、その出現に強い印象を受け、これをベツレヘムの星として描いたわけです。イエスが生まれたころのハレー彗星の出現時期は紀元前12年なので、これをベツレヘムの星と考える人もいます。ハレー彗星が1986年に地球に接近したとき、ヨーロッパが打ち上げたハレー彗星探査機「ジョット」は、この絵を描いた画家の名前にちなみ名付けられたのです。

         

        ベツレヘムの星は『新約聖書』の「マタイによる福音書」に出てきます。イエスが生まれたとき、エルサレムのヘロデ王のところに、東方から3人の「占星術の学者」がやって来て言います。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みにきたのです」。ヘロデ王は不安になり、エルサレムの学者たちを集めて、預言では救世主はどこで生まれることになっているかと聞きます。それはベツレヘムであると、彼らは答えました。そこでヘロデ王は占星術の学者たちを呼び寄せ、「星の現れた時期」を確かめ、ベツレヘムへ行ってその子のことを調べてほしいと頼みます。「彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み」、イエスのいる場所の上に止まります。「学者たちはその星を見て」喜びにあふれました。

         

        ベツレヘムの星が何かの象徴ではなく、実際に起こった天文現象であったとすると、それが何かを知るためには、まずイエスの生まれた年が問題になってきます。紀元1年がイエスの生まれた年とされているわけですが、実際のイエスの誕生年はそれより少し早いことがわかっています。イエスの両親、ヨセフとマリアがベツレヘムへ行ったのは、ローマ皇帝アウグストゥスの人口調査令のためでしたが、これが行われたのは紀元前85年です。ヘロデ王がイエス、すなわちユダヤの王の誕生をおそれて2歳以下のユダヤの男児を皆殺しにしたのが紀元前65年、ヘロデ王が死んだのが紀元前4年です。したがって、イエスの誕生は紀元前75年あたりとみられています。このころにおこった、占星術的に見て特別な意味をもつ天文現象を探さなくてはなりません。

         

        もう1つ、ベツレヘムの星が現れた方角も大事になるかもしれません。占星術の学者は、「東方で」星を見たのですが、この部分は原文からすると「東の場所で」という意味以外に、「東の空に」とも解釈できるのです。また、ベツレヘムはエルサレムの南にありますので、星が占星術の学者たちに先立って進んだということは、このとき、星は南の方角に見えていたことになります。一晩のうちに、星は東から西に移動しますから、どの方角に見えていても問題ないとも考えられますが、ある星または特別な天文現象が東の空にあらわれる(昇ってくる)こと自体が、ベツレヘムの星の意味だとする考えもあるのです。

         

        さて、ベツレヘムの星とは何だったのでしょうか。彗星は候補の1つです。ハレー彗星は出現時期からみて少し無理があるかもしれませんが、イエスが生まれたころに別の彗星が出現していたかもしれません。ただし、それに該当する彗星の記録は残っていません。

         

        一生の終わりに爆発して明るく輝く超新星も、候補になります。ヨハネス・ケプラーはこの説をとっていました。彼は1604年に超新星を観測していますが、そのとき木星と土星が接近しており、超新星はこの2つの惑星の間の位置に出現しました。そこで、ケプラーは惑星が接近した時に超新星が生まれると考えました。彼は惑星の軌道計算によって、紀元前7年に木星と土星が接近したこと、さらに紀元前6年には火星と木星と土星が接近したことを知っており、このときに出現した超新星がベツレヘムの星だと考えたのです。

         

        紀元前7年には木星と土星の接近(会合)がうお座で3回おこりました。この3連会合はめずらしい現象なので、これがベツレヘムの星であるという説もあります。聖書で「星」は単数形になっていますが、それ自体、複数の概念をふくむ言葉とされていますので、こうした天文現象も、ベツレヘムの星の候補となり得るのです。3回の会合の日付については、文献によっていくつか別の組み合わせがあります。計算に使ったプログラムのせいかもしれません。私が天文ソフトで調べたところでは、527日、106日、121日というのが正しいようです。

         

        比較的最近では、紀元前6年に木星がおひつじ座にあり、4月に東の空に昇ってきたことがベツレヘムの星だという説が出されています。これはローマ時代のコインに、おひつじが振り向いて星を見ているという図柄のものがあることから考え出されたものです。この年、木星はおひつじ座の中を行ったり来たりするのですが、12月に方向を変えるために止まったときが、ベツレヘムの星がイエスの小屋の上に止まったときだというのです。

         

        ベツレヘムの星が何であるか、結論は出ていませんが、キリスト教徒でなくても少しだけ聖書の世界に親しみ、古い時代の天文現象に思いをはせることができるのも、クリスマスの楽しみの1つです。



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