パーカー・ソーラー・プローブ:太陽の黄金の林檎

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    Parker Solar Probe:The Golden Apples of the Sun

     

    NASAの太陽観測探査機パーカー・ソーラー・プローブが、8月12日、ケープ・カナヴェラル空軍基地からデルタ献悒咫次Ε蹈吋奪箸砲茲辰涜任曽紊欧蕕譴泙靴拭

     

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    パーカー・ソーラー・プローブは10月に最初の金星フライバイを行い、太陽に2400万kmまで接近し、観測を開始します。その後さらに6回の金星フライバイを行いながら7年間のミッションを行います。この間、最接近時の太陽までの距離は600万kmにまでなるとされています。太陽から水星までの距離の約10分の1です。

     

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    太陽表面の温度は約6000度Cですが、高度数万kmにまで広がるコロナの温度は100万度Cにまで達します。パーカー・ソーラー・プローブによる観測の最大の目的は、太陽にできる限り近づき、コロナがなぜそんなに高温になるのかを解明することです。太陽に接近してコロナの謎を探るソーラー・プローブの構想はだいぶ前からありましたが、太陽の高熱に耐えられる遮熱材の開発に時間がかかりました。

     

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    パーカー・ソーラー・プローブの太陽への冒険の旅で思い出すのは、イェーツの詩にその題名をとった、レイ・ブラッドベリの『太陽の黄金の林檎』です。地球のエネルギーが枯渇してしまったため、宇宙船「金杯号」は燃えさかる太陽に向かいます。太陽の表面から炎をすくい上げて地球にもち帰り、ふたたび町を明るく照らし、機械を動かすためです。金杯号には2000本のレモネードと1000本のビールが積み込まれていました。船内は「アンモニア化合物」を用いた冷却装置によって極低温に保たれています。ちなみに、パーカー・ソーラー・プローブも加圧した水を用いる冷却装置を搭載しています。

     

    間近に見る太陽とは、どのようなものなのでしょうか。「ここには、太陽、太陽、太陽があるのみなのだ。太陽があらゆる地平線であり、太陽がすべての方角である」(小笠原豊樹訳)と、ブラッドベリは書いています。私たちはそのような太陽のはげしい姿の一端を、日本の太陽観測衛星「ひので」やNASAの太陽観測衛星「SDO」などの観測画像で知ることができます。下の画像はSDOがとらえた太陽表面の爆発現象です。

     

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    金杯号は首尾よく太陽の炎をすくい上げ、地球への帰路につきました。パーカー・ソーラー・プローブも太陽に関するたくさんの知見を地球にもたらすでしょう。


    系外惑星の大気に水を発見

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      Water in an Exoplanet’s Atmosphere

       

      NASAWASP-39bという系外惑星の大気から水を検出したと発表しました。WAPS-39bはおとめ座の方向にある太陽に似た天体WSP-39のまわりをまわっている惑星の1つです。距離は約700光年です。

       

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      大気成分の観測はハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー赤外線宇宙望遠鏡によって行われました。その結果が以下のグラフです。水蒸気(H2O)の存在を示すピークがいくつも見られます。

       

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      WASP-39bは土星と同じくらいの質量があり、WASP-39のまわりを4日間でまわっています。WASP-39からの距離は太陽〜地球間の20分の1以下(750km以下)とのことです。いわゆる「ホット・サターン」とよばれる惑星です。WASP-39bWASP-39にいつも同じ面を見せています。WASP-39からの強烈な輻射によって表側の大気が熱せられ、夜側に向かって風が吹いていきます。このような暑い天体なのですが、太陽系の土星よりも大量の水が存在していると、研究者は考えています。


      ブルームーンとは?

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        What is a Blue Moon?

         

        131日に見られる皆既月食は「ブルームーン」に起こる月食です。ブルームーンとは、「ひと月に2回満月があるときの、2回目の満月」とされています。

         

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        満月から次の満月までは29.5日かかります。したがって、2月以外の月では、満月が2回ある可能性があります。2018年は、131日と331日がブルームーンとなります。ブルームーンが起こる年は23年ごとにめぐってきます。

         

        ブルームーンといっても、月の色が青く変化することはありません。しかし、一時的に月が青く見えたという記録は残っています。例えば1883年、インドネシアのクラカトア火山が大噴火を起こし、大量の火山灰が大気中に巻き上げられました。火山灰の直径は約1μmで、赤い光を散乱させるため、人々は青色ないし緑色の月を目撃しました。また太陽はラベンダー色に見え、夕焼けは異常に赤かったといわれています。火山灰は成層圏に達し、長いことそこにとどまったため、このような現象は1年以上続きました。

         

        その後、1980年のアメリカのセントへレンズ、1983年のメキシコのエルチチョン、1991年のピナトゥボの火山噴火でも、青い色の月が見えたと報告されています。また、大規模な森林火災で発生した煙によっても、月が青く見えることがあるようです。

         

        もちろん、月が青く見えることなど、まれにしか起こりません。ここから、「滅多に起こらない」という意味の ”Once in the blue moon” という表現が生まれたといわれています。ブルームーンというと、エラ・フィッツジェラルドなどが歌った名曲を思い浮かべる方もいるかもしれません。この曲では、ブルームーンはさびしい孤独な心をあらわす存在となっています。しかし、この曲のブルームーンには、「ブルー=メランコリー」という意味以外に、”Once in the blue moon” という意味もこめられているのです。

         

        ところで、「ひと月に2回満月があるときの、2回目の満月」というブルームーンの定義ですが、これについては興味深いエピソードがあります。1999年のことでした。『スカイ&テレスコープ』誌の3月号と5月号に、「これまでのブルームーンの定義は間違っていた」という記事が掲載されたのです。

         

        これには、とてもびっくりしたものです。誰もが(『スカイ&テレスコープ』誌の編集者も含めて!)、ブルームーンとは「ひと月に2回満月があるときの2回目の満月」と思っていたのですから。しかも、その原因は『スカイ&テレスコープ』誌の昔の記事にあったというのです。

         

        「間違い」は、次のようにして起こりました。『スカイ&テレスコープ』誌の19437月号のコラムで、大学教員のローレンス・ラフラーがブルームーンについて触れました。彼の記事は、当時出版されていた『メイン・ファーマーズ・アルマナック』(現在出版されている『ファーマーズ・アルマナック』とは関係ないようです)という農業暦に書かれていたことをベースにしていました。

         

        『メイン・ファーマーズ・アルマナック』では、冬至をスタートとして3か月ごとを、「冬」「春」「夏」「秋」と決めていました。

         

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        各季節の満月は基本的に3回ですが、1年間に満月が13回ある年には、どこかの季節で満月が4回になります。そして、満月が4回ある季節の3回目の満月をブルームーンと呼んでいたのです。各季節の3回目の満月は、その季節がそろそろ終わることを告げるものですが、満月が4回ある場合の3回目の満月では、季節の移り変わりを告げるには早いため、このようなよび方をしたのです。この決め方では、ブルームーンが起こるのは2月、5月、8月、11月です。

         

        ラフラーは『メイン・ファーマーズ・アルマナック』に書かれているブルームーンという言葉を紹介しましたが、上に書いたような内容は説明しませんでした。その後、『スカイ&テレスコープ』誌の19463月号で、アマチュア天文学者のジェームズ・ヒュー・プルーエットがラフラーの記事について言及しました。

         

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        しかし、彼自身は『メイン・ファーマーズ・アルマナック』を読んでいませんでした。そして、「1年間に満月が13回ある年には、ある月には満月が2回ある。そのときの2回目の満月はブルームーンとよばれる」と書いてしまったのです。その後、『スカイ&テレスコープ』誌の記事やラジオ番組などで、ブルームーンの新しい(間違った)定義は世間に広まっていきました。

         

        ブルームーンとは現代のフォークロア、あるいは都市伝説といえるものです。今では伝統的なブルームーンと新しい定義の現代的なブルームーンが両方存在しています。『スカイ&テレスコープ』誌の1999年の記事が出たとき、天文学者も天文雑誌や科学雑誌の編集者も、新しい定義のブルームーンを間違いとして排除することはしませんでした。ブルームーンという、どこかミステリアスな言葉に誘われて、多くの人が天文現象に興味をもってくれればそれでいいと、皆が考えているからです。



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