豊渓里核実験場はすでに使用不能

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    Punggye-ri Nuclear Test Site Potentially Unusable.

     

    北朝鮮は豊渓里核実験場を廃棄する準備をしているようです。

     

    20180521_01.jpg

     

    しかし北朝鮮は核の即時廃棄を考えていません。米朝合意によって「非核化」が進められることになったとしても、北朝鮮の核技術は何らかの形で温存され、場合によってはひそかに核開発が続けられる可能性もあります。

     

    豊渓里核実験場は後述するように山体が崩壊する危険性があり、もはや核実験を行う場所として適していません。おそらく別の場所に新しい核実験場が建設されているでしょう。すでに必要なくなった施設を廃棄しても、それは単なる政治ショーにすぎません。

     

    これと同じようなことは2008年にありました。北朝鮮はプルトニウム生産を行っていた寧辺の黒鉛減速炉の運転を2007年に停止し、IAEAの査察を受け入れるとともに、翌年に原子炉の冷却塔を爆破しました。

     

    20180521_02.jpg

     

    原子炉無力化の一環とされた冷却塔爆破の際にはアメリカ、韓国、日本のメディアも招待され、その映像は世界に配信されました。ただし、冷却塔は原子炉本体とは別の構造物であり、新たに建設するのはそれほど難しいことではありません。実際、北朝鮮は2013年に冷却塔を復旧し、2015年に原子炉を再稼働させました。

     

    北朝鮮はこれまで6回の核実験を行いました。

    1回目:2006109

    2回目:2009525

    3回目:2013212

    4回目:201616

    5回目:201699

    6回目:201793

    実験が行われたと推定されている場所を下に示します。

     

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    豊渓里には「北」「東」「西」「南」の坑道があります。最初の実験は東の坑道で行われましたが、それ以後の5回は北の坑道を使っています。北の坑道は標高2205mの万塔山の下に水平に伸びており、その奥で爆発させています。2017年の6回目の実験は推定120ktともいわれる規模の大きなもので、北朝鮮は水爆の実験であったと主張しています。6回目の実験場所は特定されておらず、いくつかの推測がありますが、5回目の実験場所の近くとされています。5回目、6回目の実験を行った場所は、万塔山頂上のほぼ真下にあたります。深さ800mほどで核爆発を行ったとみられます。

     

    地下で核爆発を行うと、爆発点には球形の空洞(キャビティー)ができ、その内壁は岩石が融けてガラスになります。高温のガラスは空隙の底にたまります。爆発点の周囲の岩盤には、衝撃によって広い範囲にわたって亀裂が走ります。亀裂でもろくなった空洞上部の岩盤は落下しで空洞を埋めます。このため空洞上部の岩盤は次々に崩落し、チムニー(煙突)とよばれる円筒状の破砕構造ができます。空洞のサイズが小さい場合は、チムニー形成にいたるような大規模な崩落はおきません。

     

    2回目〜5回目までの核実験でできた空洞の直径は1〜数mと推定されます。6回目の実験は規模が大きかったため、空洞は直径10mほどになったでしょう。6回目の核実験では、マグニチュード6.3の地震が観測されました。さらに核爆発の830秒後に、同地点が震源と推定されるマグニチュード4.1の地震が発生しました。2回目の地震は、空洞が崩壊したために発生したと考えられています。

     

    万塔山の山体はこれまでの実験でもろくなっており、崩壊する危険性があります。実際、地すべりが起こっている場所も多数あります。山体の崩壊は、まだ使っていない「西」や「南」の坑道を使ったとしても発生する可能性があります。さらに亀裂を伝わって放射性物質が山体から大気中に漏れてくる可能性もあります。豊渓里はもはや使用できない核実験場なのです。


    北朝鮮:軍事パレードに火星15が登場

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      North Korea Holds Military Parade

       

      北朝鮮が軍事パレードを行い、昨年11月に発射実験を行ったICBM(大陸間弾道ミサイル)、火星15が登場しました。

       

      20180208_01.jpg

       

      今回の軍事パレードでは、現在、北朝鮮が開発に力を入れていると考えられる固体燃料のミサイルは登場しませんでした。また、ムスダンのような旧世代のミサイルも登場しませんでした。登場したのは火星12、火星14、そして火星15で、ここ数年のミサイル開発の実績を誇示する目的があったと思われます。

       

      下は火星12です。

       

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      下は火星14です。

       

      20180208_03.jpg

       

      火星15は最後に登場しました。

       

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      パレードに参加した火星154基で、シリアル番号は11111702から11111705でした。昨年11月に発射された火星15のシリアル番号は11111701でしたから、北朝鮮は発射可能な火星15を少なくとも4基は保有していることを、アメリカに見せたかったのでしょう。

       

      一方、北朝鮮は潜水艦発射式の固体燃料ミサイルや、我々が知らない新型のミサイルも開発していると考えられます。その意味では、今回は手の内をまったく見せない軍事パレードであったといえます。


      火星15:北朝鮮の新しいICBM(2)

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      Hwasong 15:North Korea’s brand new ICBM

      火星15 の弾頭部は大型のフェアリングにおおわれています。弾頭そのものという見方もありますが、画像を拡大してみると、天井部に継ぎ目のようなものがあるように思われます。また、起立時の画像からは下側2か所に白い留め具のようなものが見られ、この部分はかすかにへこんでいます。先端の白いキャップ、および左右2枚のパネルに分離するフェアリングと考えられます。

       

      20171201_08

      フェアリングのサイズは非常に大きく、これなら北朝鮮が発表しているように「超大型重量級の核弾頭」も搭載可能と考えられます。8月に模型の写真が公開された「水爆」も十分搭載できるサイズです。将来は多弾頭の搭載も可能でしょう。

      今回の発射で、フェアリング内に何が搭載されていたかは、外側からは分かりません。しかし、金正恩委員長と一緒に写っているモニター画面から推測することができます。

      下の画像は韓国で放映された映像中にあったものです。発射から時間がそれほどたっておらず、フェアリングはまだ分離されていない段階のものです。4つの画面のうち、左上は第2段ないし弾頭基部から下側を撮影した画面のようで、見えているのはエンジンの炎と思われます。下の2つの画面はフェアリング内部を撮影したもので、左の画面には弾頭と思われるものが写っています。カメラは弾頭基部に設置されています。弾頭は1個。先端がとがった円錐形で、再突入体として最も一般的な形状です。本物の弾頭ではなく、大気圏再突入時の状態を計測する各種センサーを設置した実験用飛翔体です。4つの画面のうち右上の画面もフェアリング内を撮影したものです。

       

      20171201_09

      下の画像では、弾頭は放物線の頂点を過ぎ、下降段階に入っています。弾頭は弾頭基部から分離されているため、弾頭基部に設置されたカメラからは宇宙空間と地球のへりが見えています。一方、右上の画面には弾頭とそれを支持する機構、さらに地球の明るいへりが写っています。カメラは弾頭の支持機構に設置されており、この段階でも弾頭と一緒になっているようです。おそらく、支持機構は大気圏に再突入する高度100km あたりで分離されるまで、弾頭をモニターするのでしょう。

       

      20171201_10

      これらの画面から、今回、多弾頭の実験は行われていないことがわかります。しかし、多弾頭にすることは、すべての弾頭を核弾頭にしなくても、おとり(デコイ)の弾頭にするだけでも、ミサイル防衛システムをかく乱できる利点があります。多弾頭の搭載は当然考えられていることでしょう。

      火星15 がICBM としてどこまでの能力をもっているのかは、不明な点も多々あります。その1つは搭載できる弾頭の重量ですが、今回、どのくらいの重量の実験体で試験をしたかが分かりません。弾頭の重量によって飛距離は変わってきます。弾頭の再突入技術もどこまで進んでいるかは分かりません。しかし、上の画像でも明らかなように、再突入体の実験も着々と行われているようです。

      弾頭の精密誘導技術のレベルや命中精度もわかりません。北朝鮮はミサイルが落下するまでをレーダーで追跡する能力をもっていません。到達高度や落下場所の位置は、米日韓からの情報に依拠しているのではないかと思われます。しかし、ミサイルや弾頭に搭載したセンサーからのテレメトリーデータで飛行の状況をそれなりに把握していると考えられます。金正恩委員長がモニター画面の前でガッツポーズしている画像では、画面に示されていた弾頭の航跡が消えています。テレメトリーデータが途絶した瞬間、すなわち飛行完了の瞬間を撮影したものかもしれません。

       

      20171201_11

      火星15 のエンジンは最近、何度か燃焼試験が行われた模様です。今回、初の発射実験が成功しましが、ICBM としてはまだ開発段階であり、今後も試験発射は行われるでしょう。

      金正恩体制になってからミサイル開発はスピードアップしているだけでなく、新しい系列のミサイルがいくつも登場しています。おそらく設計局システムがとられ、複数の設計局がそれぞれの系列のミサイル開発を競っていると考えられます。その中でも、固体燃料のICBM とされる火星13 や、同じく固体燃料のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の北極星3 も、遠くない将来、発射実験が行われると推測されます。北朝鮮のミサイル開発が、世界の平和と安全にとって重大な脅威となっていることは間違いありません。



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