新しい航空輸送システムを目指すNASA
NASA’s Aeronautics Research
NASAは将来の航空輸送システムの実現に向けて、数々の研究を行っています。
最近、大きな話題になっているがUAM(アーバン・エア・モビリティ)です。無人あるいは有人の大型のドローン、いわゆる「空飛ぶクルマ」による都市内交通です。各社が実用化研究に乗り出しており、エアバスやポルシェのような大メーカーも参入しています。UAMは大都市圏だけでなく、大都市の周辺あるいは郊外の小都市でも有効です。ただし、実用化には機体や運航の安全性の確保、さらにはUAM同士あるいは他の航空機、ヘリなどとの干渉を防ぐ運行管理ステムが必要です。
旅客機の分野では、電動航空機の研究開発が進んでいます。電動航空機には、バッテリーのみでプロペラを駆動するピュア・エレクトリック方式と、機上に設置したガスタービン・エンジンで発電して電動モーターを駆動するハイブリッド方式があります。ピュア・エレクトリック方式は小型機に適しており、NASAは小型電動航空機の試験機X-57 マックスウェルを製作しています。ハイブリッド方式の電動航空機に関しては、NASAはボーイング社と提携して研究用の機体を開発しています。
航空旅客輸送には高速化の要望もあり、超音速旅客機の研究開発も、最近脚光をあびてきました。超音速旅客機コンコルドは、超音速飛行時に発生する衝撃波(ソニックブーム)が問題となり、陸地上では超音速で飛ぶことができませんでした。現在は、ソニックブームを抑制した静粛超音速旅客機の研究が進んでいます。NASAはロッキード・マーチン社と静粛超音速旅客機の試験機X-59 QueSSTを製作する契約を結んでいます。
VTOL(垂直離着陸)機や高速ヘリも期待されています。ヘリコプターを高速化するには、高速を実現するローター・ブレードの開発、プロペラを併用した機体設計などが考えられています。VTOL機や高速ヘリが実現すれば、都市圏の移動時間が短縮されるほか、災害時等の救援活動が効率化されるなどのメリットが得られます。
- 2019.12.10 Tuesday
- 航空
- 19:40
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- by Kazuo Terakado