嫦娥4号打ち上げ:その真の目標は?

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    China Launches Chang’e 4:What is its Real Target?

     

    中国の月探査機、嫦娥4号が127日午前223分に西昌宇宙センターから長征3Bロケットによって打ち上げられました。嫦娥4号は月の裏側にあるフォン・カーマン・クレーターへの着陸を目指しています。

     

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    フォン・カーマン・クレーターは南極エイトケン・ベイスン(SPA)の内部にあります。SPAは非常に古い時代の巨大衝突跡で、直径が2500kmにも達します。下の画像は月の裏側で、赤線で囲った部分がSPA、矢印がフォン・カーマン・クレーターです。

     

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    下の画像がフォン・カーマン・クレーターです。直径は約180kmです。

     

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    下の画像は嫦娥4号の着陸地点に関する中国の研究者の論文に掲載されているもので、白い四角の領域が嫦娥4号の着陸目標になっています。

     

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    嫦娥4号は着陸機と月面ローバーから構成されています。2013年に月に着陸して探査活動を行った嫦娥3号のバックアップとして製作されたものです。3号の経験を踏まえ、越夜技術(2週間続く月の夜の対策)などが改良されていると思われます。観測機器も3号とまったく同じではなく、ドイツやスウェーデンなどの観測機器が搭載されています。地球との交信は、中国が今年5月にラグランジュ・ポイント2L2)に打ち上げたデータ中継衛星「鵲橋」を経由して行われます。

     

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    嫦娥4号は月の裏側の環境や周囲の地形、岩石やレゴリスの化学組成、クレーター地下の構造などを調べます。SPAができた大衝突では、衝突跡は深さ25kmにもなり、マントル層まで達したと考えられています。したがってSPAができた時の物質を調べれば、月の始原的な物質やマントル物質に関する情報が得られると考えられ、多くの科学者が注目しています。ただし、SPAはその後、激しい衝突にさらされ、さらに高地での衝突によってできた噴出物でおおわれています。また、フォン・カーマン・クレーターは衝突後に内部から流出してきて固まった玄武岩におおわれています。したがって、嫦娥4号は月の始原的な物質やマントルを構成していた岩石を見つけて観測することが大きな目的にはなっていないと思われます。

     

    嫦娥4号の最大の目的は、将来の月の裏側への有人月着陸に向けて、さまざまな技術を獲得することにあります。着陸場所のフォン・カーマン・クレーターも、月の裏側の数少ない平坦な場所であることが大きな理由になっていると思われます。

     

    嫦娥シリーズの月科学探査はCLEPChinese Lunar Exploration Program)によって行われています。今回、嫦娥4号を打ち上げた長征3BロケットにもCLEPのロゴマークが塗装されていました。そのCLEPのロゴが以下です。

     

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    「月」の文字が三日月と宇宙飛行士の足跡でデザインされており、CLEPの最終目的が有人着陸であることがわかります。

     

    中国はアメリカに対抗する宇宙強国になることを目指しており、将来の月面有人探査や資源利用に力を入れています。嫦娥4号の着陸機にはカイコと植物を入れた容器が収められており、ミニ生態系をつくっています。こうした実験も、将来の有人探査を考えてのことでしょう。

     

    嫦娥シリーズは単なる科学ミッションではなく、その背後に宇宙での覇権を目指す中国の意図が見え隠れしています。また、L2に置かれたデータ中継衛星「鵲橋」にも、アメリカのゲートウェイ構想に対抗して、月近傍に中国の宇宙インフラをつくろうという意図があるのかもしれません。


    オライオン宇宙船の太平洋での回収試験

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      Recovery Test of the Orion Capsule in the Pacific Ocean

       

      111日に行われたオライオン宇宙船の太平洋での回収試験の様子です。美しい夕日を背景にしたオライオンのカプセルとその奥のアメリカ海軍のドック型揚陸艦ジョン・P・マーサが印象的です。

       

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      オライオン宇宙船はNASAが開発中の深宇宙探査用有人宇宙船です。


      ソユーズMS-10打ち上げ失敗の原因はセンサーの異常

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        Soyuz MS-10 Launch Failure Caused by an Errant Sensor

         

        ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター所長のセルゲイ・クリカリョフは、1011日のソユーズMS-10の打ち上げ失敗はセンサーの異常によるものだと述べました。第1段の4本のブースターが第2段ロケットから切り離される際、1本のブースターでセンサーが働かず、うまく分離しませんでした。そのため、このブースターが第2段ロケットに衝突して損傷させてしまったのです。これは、ソユーズMS-10 のオンボードカメラからの映像で確認することができます。

         

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        上の画像は打ち上げ直後の映像で、ロケットは順調に上昇しています。しかし、ブースター切り離しの際に異常が起こりました。下の画像はブースター切り離しの瞬間ですが、カメラに写っている3本のブースターのうち、左のブースターが離れていません。

         

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        これは、通常のブースター切り離しの際の映像(下)と比べてみれば、よくわかります。

         

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        左のブースターは下部のストラットは火薬で分離していると思われますが、先端部は第2段に付いたままです。先端部を分離させるために圧搾酸素を噴射するベントバルブが作動していないとみられます。この事象にセンサーの異常が関連しているのでしょう。ブースターは第2段ロケットの燃料タンクの隔壁を破壊したとみられます。下の映像では炎が発生しています。

         

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        次の瞬間、第2段ロケットは炎に包まれました。この直後、緊急脱出システムが作動し、クルーの乗ったカプセルはフェアリングごと切り離されました。

         

        下の画像は、それから1秒もしない時点の映像ですが、左上に地球の縁が写っており、煙を吐く第2段ロケットはあらぬ方向を向いており、制御を失っているのがわかります。

         

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        失敗の原因が明らかになったことを踏まえ、ロシアは12月半ばには次のクルーの打ち上げを考えていると思われます。NASAも、ロシア側の対応に問題がないとすれば、12月の打ち上げに同意するでしょう。国際宇宙ステーションが無人になる事態は避けられるかもしれません。



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