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追悼 ロバート・マッコール
スペースアートの巨匠、ロバート・マッコールさんが2月26日に亡くなりました。90歳でした。マッコールさんは、1960年代はじめに『ライフ』誌などで活躍を始め、一貫して、人類の宇宙への挑戦を力強く、イマジネーション豊かなイラストレーションで描き続けました。1950年代にチェズリー・ボーンステルが開拓したスペースアートというジャンルを確立した人です。

mccall

おそらく、マッコールさんの一番有名な作品は、ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館の巨大壁画『コズミック・ビュー』でしょう。宇宙の時間と空間の広大な広がりを背景に、宇宙飛行士が月面に立つ様子が描かれています。

cosmicview

マッコールさんはスタンリー・キューブリック監督に頼まれ、映画『2001年宇宙の旅』のポスター用のイラストレーションも描きました。宇宙開発にあまり関心のない方でも、宇宙ステーションからスペースシャトルが飛び立っていくイラストは、どこかで見たことがあるに違いありません。

マッコールさんは、NASA のためにも多くの作品を描きました。また、最後の月面着陸となったアポロ17号、スペースシャトルの初飛行STS-1、3回目の飛行STS-3のミッションパッチも、彼のデザインによるものです。さらに、アポロ13号の帰還を指揮したフライト・ディレクター、ジーン・クランツの依頼で、ヒューストンのミッション・コントロール・チームのパッチもデザインしました。

直接お会いする機会はありませんでしたが、マッコールさんの作品の特集記事を制作した時に、何度か手紙のやりとりをしたことがあります。マッコールさんはアリゾナ州フェニックスの近くに住んでいましたが、自宅とアトリエのある通りのロマンチックな名前、「Moonlight Way」は今でも覚えています。
アメリカの生物学の教科書
『アメリカ版大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学』(講談社ブルーバックス)を買ってきました。アメリカの大学生向け生物学の教科書 ”Life:The Science of Biology 第8版”(Sinauer Associates, Inc.)から、細胞に関する5章を抽出して翻訳したものです。原書は全57章からなりますが、この後、第2巻には遺伝に関する6章が、第3巻には分子生物学に関する6章が収録されるとのことです。

アメリカの生物学の教科書には、非常によくできたものが何種類もあります(生物学には限りませんが)。たいていは1000ページ以上のボリュームがあり、生物学の基礎から応用、生物学の実験手法、さらには進化論や生態学、生物多様性など豊富な内容が、よく練られた平易な文章で解説されています。特に素晴らしいのは、わかりやすく美しいカラー図版です。こうした教科書はページ数もさることながら、値段もそれなりなので、以前はニューヨークに行った折、学生向けに中古の教科書を売っている書店に行って、購入したものです。

日本の大学の先生方の中には、これらの教科書を翻訳したいと考えている方が何人もいました。私も翻訳出版を検討したことがありましたが、実現しませんでした。それが、今回、このような誰もが読める形で出版されたのはとても意味のあることだと思います。

やはり大学生向けの教科書として定評のある『キャンベル生物学』は丸善から翻訳が出ていますが、これは1500ページ以上のボリュームがあります。大学レベルの生物学をもう少し知りたいと考えている方は、まず、このブルーバックスにトライしてみてはどうでしょう。
チリ地震津波ふたたび
27日午後3時34分ごろ、チリ中部沿岸でマグニチュード8.8(USGSによる)の大地震が発生しました。震源近くでは大きな被害が出ている模様です。地震が発生した場所は、ナスカ・プレートが年間8センチメートルのスピードで南アメリカ・プレートの下にもぐりこんでいるところで、地震多発地帯の1つです。

chile2010

地球の裏側で発生した地震ですが、津波に対する警戒が必要です。1960年5月23日に発生したチリ地震は、マグニチュード9.5という観測史上最大規模の巨大地震で、震源は今回より少し南でした。翌24日に1〜6メートルの津波が日本にまで到達しました。下の図は、このときの津波の伝搬時間を示すNOAA(アメリカ海洋大気局)のデータで、色の帯1つが1時間をあらわしています。地震発生から約22時間で、津波が日本にやってくることがわかります。

traveltime

1960年のチリ地震による津波では、三陸海岸を中心に被害が発生、多くの死者が出ています。「災害は忘れたころにやって来る」と言いますが、当時の被害を知っている人がだんだん少なくなったころに、また同じような津波がやってくることになります。津波は本日午後1時過ぎに、日本にやってきます。

ISS の新しい窓
スペースシャトル、エンデバーは約14日間のミッションを終えて、本日12時20分(日本時間)に、フロリダのケネディ宇宙センターに帰還しました。今回のSTS-130ミッションでは、国際宇宙ステーション(ISS)のノード3(第3結合部)であるトランクウィリティーと、観測用モジュール、キューポラが運ばれました。

トランクウィリティーはユニティの左舷側に取りつけられ、キューポラはトランクウィリティーの下側(地球側)に取りつけられました。また、ユニティの左舷側に取りつけられていたPMA-3(与圧結合アダプタ3)はトランクウィリティーの先端に移設されました。

下の写真は、エンデバーが地球に帰還する際に撮影したもので、ISS のアメリカ区画側を下から(地球側から)見上げています。ISSは次第に最終形に近づいてきました。

iss

キューポラは地球を真下にのぞむ中央の丸い窓と、それを囲む6個の窓からなり、宇宙空間に少しとび出した形になっています。ここからは素晴らしい光景を見ることができるでしょう。下の写真でキューポラの中にいるのは、STS-130 のコマンダー、ジョージ・ザムカ宇宙飛行士です。

cupola

宇宙から地球を眺めていると、1日見ていても飽きないといいます。キューポラはそれほど大きなスペースではありませんが、休みの日には、ここが宇宙飛行士たちのたまり場になるのではないでしょうか。
冬の貴婦人
池袋のサンシャイン60で、「クリスマスローズの世界展」を見てきました。花の少ない冬季に美しい姿を見せてくれるところから「冬の貴婦人」ともよばれるクリスマスローズには、日本にも多くの愛好家がいます。花弁に見えるのは実はがく片なのだそうで、本来の花弁は退化し、中央部分に小さな蜜腺となって集まっています。

クリスマスローズの色や模様、形は多彩ですが、現在も新しい品種が開発されています。会場には、クリスマスローズの育種で有名なイギリスのアシュウッド・ナーセリーのコーナーがありました。ここに展示されていたレッドネオンという品種は、さすがに素晴らしいものでした。

christmasrose_a

クリスマスローズはキンポウゲ科の花で、その原種は20種。バルカン半島を中心に広くヨーロッパに自生しているそうです。会場にはその原種がいくつか展示されていました。左から、アトロルーベンス、オドルス、ニゲル、プルプラスケンスです。

christmasrose_b

形や色は素朴ですが、こうした原種を交配していくと、華やかな品種が生まれてくるのですから、あらためて遺伝子の不思議さを感じないわけにはいきません。

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