古代マヤの暦に関する新発見
ボストン大学の研究チームによる、古代マヤの暦に関する新しい発見が、5月12日号の『サイエンス』誌で発表されました。グアテラマのシュルトゥンにある紀元900年頃の遺跡から、月の満ち欠けや惑星の運行を示す表が見つかったというものです。「2012年の世界の終末を否定」「7000年先まで暦が存在」といった見出しで報道されていましたが、この発見の意味はまったく別のところにあります。
マヤ文明時代の文書は、スペインに統治されたときにそのほとんどが燃やされてしまったため、現存するものは4つしかありません。ドイツにある「ドレスデン絵文書」、スペインにある「マドリッド絵文書」、フランスにある「パリ絵文書」、そしてメキシコにある「グロリア絵文書」です。これらはどれも、マヤ文明の最後の時代(紀元1300〜1500年)に属するものです。現在、私たちがマヤの天文学や暦について知っている知識のほとんどは、こうした絵文書の中に示されていた天体表や暦にもとづいています。
マヤの人々は高度な天文学的知識をもっていたといわれます。太陽や月、金星、火星などの惑星の動きを観測し、そこに周期性を見出して正確な運行表をつくりあげていたのです。これによって、マヤの人々は日食や月食、惑星が特別な場所にくる日などを予測することができました。マヤの社会で、これらは宗教儀式のために、非常に重要な情報だったのです。
今回、シュルトゥン遺跡の壁には、黒い点や線で書かれた表のようなものがあり、それらは月の満ち欠けや天体の運行を示す表であることが明らかになりました。下の画像はその中の1つで、月の満ち欠けの周期を示す表です。

この月の周期表は、ドレスデン絵文書に含まれているデータと共通するものであることがわかりました。シュルトゥンの時代の人々は、177〜178日の周期(月の満ち欠け6回分)をベースにして日食や月食の予測に使っていたようです。一方、ドレスデン絵文書では、177〜178日の周期に加え、148日の周期(月の満ち欠け5回分)を使って補正をし、予測の精度を上げていました。金星の運行表や、暦の途中から天体の運行を計算するために用いる「リング・ナンバー」などにも、ドレスデン絵文書との共通性が見られるとのことです。
マヤの長期暦は約5000年の周期をもっています。今年の12月にその周期の終わりがくるわけですが、シュルトゥン遺跡で発見された日付の表では、それよりも短い周期のものや、長期暦よりかなり長い周期の表も見つかりました。
今回の発見は、マヤの天文学や暦の成立過程の研究に大きな役割を果たすのではないかと、私は考えています。
マヤ文明時代の文書は、スペインに統治されたときにそのほとんどが燃やされてしまったため、現存するものは4つしかありません。ドイツにある「ドレスデン絵文書」、スペインにある「マドリッド絵文書」、フランスにある「パリ絵文書」、そしてメキシコにある「グロリア絵文書」です。これらはどれも、マヤ文明の最後の時代(紀元1300〜1500年)に属するものです。現在、私たちがマヤの天文学や暦について知っている知識のほとんどは、こうした絵文書の中に示されていた天体表や暦にもとづいています。
マヤの人々は高度な天文学的知識をもっていたといわれます。太陽や月、金星、火星などの惑星の動きを観測し、そこに周期性を見出して正確な運行表をつくりあげていたのです。これによって、マヤの人々は日食や月食、惑星が特別な場所にくる日などを予測することができました。マヤの社会で、これらは宗教儀式のために、非常に重要な情報だったのです。
今回、シュルトゥン遺跡の壁には、黒い点や線で書かれた表のようなものがあり、それらは月の満ち欠けや天体の運行を示す表であることが明らかになりました。下の画像はその中の1つで、月の満ち欠けの周期を示す表です。

この月の周期表は、ドレスデン絵文書に含まれているデータと共通するものであることがわかりました。シュルトゥンの時代の人々は、177〜178日の周期(月の満ち欠け6回分)をベースにして日食や月食の予測に使っていたようです。一方、ドレスデン絵文書では、177〜178日の周期に加え、148日の周期(月の満ち欠け5回分)を使って補正をし、予測の精度を上げていました。金星の運行表や、暦の途中から天体の運行を計算するために用いる「リング・ナンバー」などにも、ドレスデン絵文書との共通性が見られるとのことです。
マヤの長期暦は約5000年の周期をもっています。今年の12月にその周期の終わりがくるわけですが、シュルトゥン遺跡で発見された日付の表では、それよりも短い周期のものや、長期暦よりかなり長い周期の表も見つかりました。
今回の発見は、マヤの天文学や暦の成立過程の研究に大きな役割を果たすのではないかと、私は考えています。
鳥インフルエンザ・ウイルスの論文、『ネイチャー』誌に掲載
バイオテロ等への悪用が懸念され、論文発表が一時止められていた鳥インフルエンザ・ウイルスに関する2本の論文のうち、『ネイチャー』誌に投稿されていた東京大学医科学研究所およびウィスコンシン大学の河岡義裕教授のグループの論文が、5月3日の『ネイチャー』誌電子版に掲載されました。
鳥の世界で現在流行している高病原性鳥インフルエンザ・ウイルス(H5N1 亜型インフルエンザ・ウイルス)は、鳥からヒトへの感染例が発生していますが、ヒト間での感染はまだありません。河岡教授のグループが作製した変異H5N1 亜型ウイルスは、哺乳類でのウイルス伝播をしらべるモデル生物であるフェレット間で、飛沫によって伝播することが示されました。
インフルエンザ・ウイルスの表面にはHA(ヘマグルチニン、血液凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)という2種類のスパイクタンパク質があります。下の画像は東京大学医科学研究所の野田岳志特任準教授が撮影したH5N1 亜型ウイルスで、ウイルス表面のスパイクがよく見えています。

HA には16の亜型があり、H5N1 亜型ウイルスは5型のHA をもっています。インフルエンザ・ウイルスの感染は、HA が細胞表面にある受容体(先端にシアル酸をもつ糖タンパク質や糖脂質)に結合することによってはじまりますが、鳥インフルエンザ・ウイルスとヒトインフルエンザ・ウイルスでは、結合のしかたが異なることが知られています。鳥のウイルスはガラクトース(糖タンパク質や糖脂質の一部)に「α2,3 」という結合をしたシアル酸を目標としますが、ヒトのウイルスはガラクトースに「α2,6 」という結合をしたシアル酸を目標にしています。この違いのために、鳥のウイルスはヒトの間で感染をくり返さないのです。
河岡教授のグループは、2009年に大流行したH1N1 亜型ヒトインフルエンザ・ウイルスのHA 遺伝子を鳥インフルエンザの5型に置き換えたハイブリッド・ウイルスを用い、210万種類もの変異ウイルスを作成しました。すると、その中の1つのウイルスがフェレット間に感染をおこしたのです。鳥のHA は本来、ヒトの受容体には簡単に結合しないはずです。どのような変異が起こったのでしょうか。
しらべてみると、このウイルスのHA では、受容体との結合部付近のアミノ酸配列で4か所に変異がおきていることがわかりました。具体的にいうと、N158D(158番目のアミノ酸がアスパラギンからアスパラギン酸に)、N224K(224番目のアミノ酸がアスパラギンからリシンに)、Q226L(226番目のアミノ酸がグルタミンからロイシンに)、T318I(318番目のアミノ酸がトレオニンからイソロイシンに)という変異があったのです。

このうち、とくに重要なのはN224K とQ226L で、これによって変異ウイルスはα2,6 の結合を認識することができるようになり、哺乳類間での感染が可能になったのです。
H5N1 亜型の鳥インフルエンザ・ウイルスが、上の4つの変異を起こすと、ヒトの間で感染するウイルスに変身することになるわけですが、エジプトや中近東諸国のH5N1 亜型ウイルスは、すでにN158D の変異をもっているとのことです。
河岡教授はウィスコンシン大学から発表されたプレスリリースの中で、「ほんのわずかな変異で鳥のウイルスがヒトの世界で大流行をひきおこすウイルスになることがわかった」と語っています。また、ヒトのウイルスへの変異はこの論文で明らかになった変異以外にもあるはずで、河岡教授はさらなるインフルエンザ・ウイルスの研究が必要と強調しています。
論文の発表に懸念が示された理由は、変異の場所が明らかにされていることではなく、変異ウイルスの作製方法が詳しく述べられているからです。電子版に掲載された論文では、その方法が具体的に説明されています。世界中の研究者がこうした方法で研究を進めれば、新しいウイルスに備えるワクチンや治療薬の開発に寄与すると考えられます。
論文発表が止められていたもう1つの論文は、『サイエンス』誌に投稿されたオランダ、エラスムス医療センターのロン・フーシェ教授のグループによるものです。オランダ政府はこの論文の公表を許可しており、現在『サイエンス』誌で審査中です。
鳥の世界で現在流行している高病原性鳥インフルエンザ・ウイルス(H5N1 亜型インフルエンザ・ウイルス)は、鳥からヒトへの感染例が発生していますが、ヒト間での感染はまだありません。河岡教授のグループが作製した変異H5N1 亜型ウイルスは、哺乳類でのウイルス伝播をしらべるモデル生物であるフェレット間で、飛沫によって伝播することが示されました。
インフルエンザ・ウイルスの表面にはHA(ヘマグルチニン、血液凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)という2種類のスパイクタンパク質があります。下の画像は東京大学医科学研究所の野田岳志特任準教授が撮影したH5N1 亜型ウイルスで、ウイルス表面のスパイクがよく見えています。

HA には16の亜型があり、H5N1 亜型ウイルスは5型のHA をもっています。インフルエンザ・ウイルスの感染は、HA が細胞表面にある受容体(先端にシアル酸をもつ糖タンパク質や糖脂質)に結合することによってはじまりますが、鳥インフルエンザ・ウイルスとヒトインフルエンザ・ウイルスでは、結合のしかたが異なることが知られています。鳥のウイルスはガラクトース(糖タンパク質や糖脂質の一部)に「α2,3 」という結合をしたシアル酸を目標としますが、ヒトのウイルスはガラクトースに「α2,6 」という結合をしたシアル酸を目標にしています。この違いのために、鳥のウイルスはヒトの間で感染をくり返さないのです。
河岡教授のグループは、2009年に大流行したH1N1 亜型ヒトインフルエンザ・ウイルスのHA 遺伝子を鳥インフルエンザの5型に置き換えたハイブリッド・ウイルスを用い、210万種類もの変異ウイルスを作成しました。すると、その中の1つのウイルスがフェレット間に感染をおこしたのです。鳥のHA は本来、ヒトの受容体には簡単に結合しないはずです。どのような変異が起こったのでしょうか。
しらべてみると、このウイルスのHA では、受容体との結合部付近のアミノ酸配列で4か所に変異がおきていることがわかりました。具体的にいうと、N158D(158番目のアミノ酸がアスパラギンからアスパラギン酸に)、N224K(224番目のアミノ酸がアスパラギンからリシンに)、Q226L(226番目のアミノ酸がグルタミンからロイシンに)、T318I(318番目のアミノ酸がトレオニンからイソロイシンに)という変異があったのです。

このうち、とくに重要なのはN224K とQ226L で、これによって変異ウイルスはα2,6 の結合を認識することができるようになり、哺乳類間での感染が可能になったのです。
H5N1 亜型の鳥インフルエンザ・ウイルスが、上の4つの変異を起こすと、ヒトの間で感染するウイルスに変身することになるわけですが、エジプトや中近東諸国のH5N1 亜型ウイルスは、すでにN158D の変異をもっているとのことです。
河岡教授はウィスコンシン大学から発表されたプレスリリースの中で、「ほんのわずかな変異で鳥のウイルスがヒトの世界で大流行をひきおこすウイルスになることがわかった」と語っています。また、ヒトのウイルスへの変異はこの論文で明らかになった変異以外にもあるはずで、河岡教授はさらなるインフルエンザ・ウイルスの研究が必要と強調しています。
論文の発表に懸念が示された理由は、変異の場所が明らかにされていることではなく、変異ウイルスの作製方法が詳しく述べられているからです。電子版に掲載された論文では、その方法が具体的に説明されています。世界中の研究者がこうした方法で研究を進めれば、新しいウイルスに備えるワクチンや治療薬の開発に寄与すると考えられます。
論文発表が止められていたもう1つの論文は、『サイエンス』誌に投稿されたオランダ、エラスムス医療センターのロン・フーシェ教授のグループによるものです。オランダ政府はこの論文の公表を許可しており、現在『サイエンス』誌で審査中です。
カロリス・ベイスン:太陽系最大級の衝突跡
太陽系の一番内側をまわる水星の探査は、1974〜75年のマリナー10号以来しばらく行われませんでしたが、2004年に打ち上げられたNASA の水星探査機メッセンジャーは3回の水星フライバイ(2008年1月、2008年10月、2009年9月)をへて、2011年3月に水星を周回する軌道に入り、興味深いデータを次々と送ってきています。

最近、カロリス・ベイスン(カロリス盆地)の全貌を示す高解像度モザイク画像が発表されました。

カロリス・ベイスンは太陽系最大級の衝突跡です。今から約38億年前の後期重爆撃期の大衝突でできたと考えられています。月の巨大ベイスンと同じように、衝突によってできたくぼみを、その後溶岩が埋めたために、平坦な地形ができました。ただし、衝突跡を埋めた溶岩は月のように暗くはなく、アルベド(反射能)は周囲よりも高く、明るく見えます。カロリス・ベイスンのほぼ中央には放射状に溝が分布した地形があり、パンテオン・フォッサとよばれています。この溝はカロリス・ベイスンの拡大によってできたと考えられています。パンテオン・フォッサの中心にはアポロドーロスという直径40km のクレーターがあり、このクレーターがパンテオン・フォッサをつくったように見えますが、両者は関係なく、パンテオン・フォッサの方が古い地形です。アポロドーロスの南東には直径100km のアジェというクレーターがあり、その周囲は衝突の際の噴出物でおおわれています。古い地形のわりに、クレーターが少なく、平らな表面が残っているのもカロリス・ベイスンの特徴です。
下の画像は、カロリス・ベイスンの画像を色処理したもので、ベイスンとその周囲の物質の違いが際立って示されています。

カロリス・ベイスンは1974年にマリナー10号によって発見されました。下の画像がそのときのものです。このとき、マリナー10号はカロリス・ベイスンの東の部分をとらえただけで、ベイスン本体は影の部分に入っていて、撮影することができませんでした。

2008年にメッセンジャーによってカロリス・ベイスンの全体像が明らかになりました。その結果、ベイスンの直径はマリナー10号の画像からの推測値である1300km よりも大きく、1550km であることが明らかになりました。水星の直径の約4分の1の大きさです。
マリナー10号の画像の画像でよく見えているように、カロリス・ベイスンは衝突によってできた多重リングをもっており、直径930km の月のオリエンターレ・ベイスンに似ています。

しかし、カロリス・ベイスンは月の巨大クレーターやベイスンとはことなる特徴を多くもっているようです。パンテオン・フォッサのほかにもいくつかのタイプの地溝があり、月の海にみられるようなリンクルリッジもあります。

これらの複雑な地形は、水星初期の歴史を反映していると思われます。また、ベイスン内のクレーターの中には、内部が暗く見えているものもあり、ベイスンを埋めた溶岩の下の物質が衝突によって表面にあらわれているようです。

最近、カロリス・ベイスン(カロリス盆地)の全貌を示す高解像度モザイク画像が発表されました。

カロリス・ベイスンは太陽系最大級の衝突跡です。今から約38億年前の後期重爆撃期の大衝突でできたと考えられています。月の巨大ベイスンと同じように、衝突によってできたくぼみを、その後溶岩が埋めたために、平坦な地形ができました。ただし、衝突跡を埋めた溶岩は月のように暗くはなく、アルベド(反射能)は周囲よりも高く、明るく見えます。カロリス・ベイスンのほぼ中央には放射状に溝が分布した地形があり、パンテオン・フォッサとよばれています。この溝はカロリス・ベイスンの拡大によってできたと考えられています。パンテオン・フォッサの中心にはアポロドーロスという直径40km のクレーターがあり、このクレーターがパンテオン・フォッサをつくったように見えますが、両者は関係なく、パンテオン・フォッサの方が古い地形です。アポロドーロスの南東には直径100km のアジェというクレーターがあり、その周囲は衝突の際の噴出物でおおわれています。古い地形のわりに、クレーターが少なく、平らな表面が残っているのもカロリス・ベイスンの特徴です。
下の画像は、カロリス・ベイスンの画像を色処理したもので、ベイスンとその周囲の物質の違いが際立って示されています。

カロリス・ベイスンは1974年にマリナー10号によって発見されました。下の画像がそのときのものです。このとき、マリナー10号はカロリス・ベイスンの東の部分をとらえただけで、ベイスン本体は影の部分に入っていて、撮影することができませんでした。

2008年にメッセンジャーによってカロリス・ベイスンの全体像が明らかになりました。その結果、ベイスンの直径はマリナー10号の画像からの推測値である1300km よりも大きく、1550km であることが明らかになりました。水星の直径の約4分の1の大きさです。
マリナー10号の画像の画像でよく見えているように、カロリス・ベイスンは衝突によってできた多重リングをもっており、直径930km の月のオリエンターレ・ベイスンに似ています。

しかし、カロリス・ベイスンは月の巨大クレーターやベイスンとはことなる特徴を多くもっているようです。パンテオン・フォッサのほかにもいくつかのタイプの地溝があり、月の海にみられるようなリンクルリッジもあります。

これらの複雑な地形は、水星初期の歴史を反映していると思われます。また、ベイスン内のクレーターの中には、内部が暗く見えているものもあり、ベイスンを埋めた溶岩の下の物質が衝突によって表面にあらわれているようです。
北朝鮮の核開発(4):ウラン濃縮施設
北朝鮮の3回目の核実験は、高濃縮ウランを用いた核爆弾で行われるとの観測があります。北朝鮮の核開発はプルトニウムを用いた核爆弾の開発からはじまりましたが、1990年代に入ってからはウランを用いる核爆弾の開発も進められました。そのためにはウラニウム235 の濃縮度が90%程度の兵器級ウランが必要です。発電用の軽水炉で用いられる燃料では、ウラン235 の濃縮度は3%程度です。もしも北朝鮮が高濃縮ウランを用いた核実験を行うとなると、北朝鮮は兵器級のウランを製造する施設をすでに完成し、何年間も稼働させていたことになります。
北朝鮮は遠心分離法によるウラン濃縮技術を1990年代半ばに、ミサイル技術との交換でパキスタンから手に入れたとする見方が有力です。1990年代後半には、遠心分離装置に必要な部品や装置を各国から輸入しています。
北朝鮮は軽水炉用のウラン濃縮工場を寧辺に建設し、2010年にはアメリカからの視察団に公開していますが、兵器級ウランを製造する濃縮工場は別の場所にあるとみられています。しかし、ウラン濃縮工場は地下に建設することも可能で、偵察衛星による監視が難しく、どこにあるかはわかっていません。工場の稼働状況も明らかではありませんが、2000年代半ばには稼働を開始したという情報もあります。
高濃縮ウランを用いた核爆弾の開発はプルトニウムを用いるものより容易とみられており、北朝鮮は、すでにその製造技術を獲得しているとみられます。
北朝鮮のウラン鉱石埋蔵量は約2600万t とみられ、少なくとも1つの採掘ラインが動いているようです。
北朝鮮は遠心分離法によるウラン濃縮技術を1990年代半ばに、ミサイル技術との交換でパキスタンから手に入れたとする見方が有力です。1990年代後半には、遠心分離装置に必要な部品や装置を各国から輸入しています。
北朝鮮は軽水炉用のウラン濃縮工場を寧辺に建設し、2010年にはアメリカからの視察団に公開していますが、兵器級ウランを製造する濃縮工場は別の場所にあるとみられています。しかし、ウラン濃縮工場は地下に建設することも可能で、偵察衛星による監視が難しく、どこにあるかはわかっていません。工場の稼働状況も明らかではありませんが、2000年代半ばには稼働を開始したという情報もあります。
高濃縮ウランを用いた核爆弾の開発はプルトニウムを用いるものより容易とみられており、北朝鮮は、すでにその製造技術を獲得しているとみられます。
北朝鮮のウラン鉱石埋蔵量は約2600万t とみられ、少なくとも1つの採掘ラインが動いているようです。
カンブリア紀大爆発のトリガーとなった大事件
先カンブリア時代と古生代カンブリア紀との境界は今から5億4200万年前とされています。カンブリア紀になると、多細胞生物は多様な進化をとげ、いわゆる「カンブリア紀の大爆発」がおこりました。カンブリア紀大爆発の特徴の1つは、生物が殻や骨格をもつ進化の道筋が開けたことです。また、高度な視覚をもつ生物が登場し、捕食者と非捕食者の関係が生じました。捕食者はより強大になり、非捕食者は身を守る仕組みを発達させる「軍拡競争」の時代がはじまったわけです。三葉虫はこの時代の代表的な生物です。

カンブリア紀大爆発というこの生命進化上の大イベントと、カンブリア紀とその前の時代の地層との間にみられる「大不整合」を関連づける論文が、『ネイチャー』誌の4月19日号に掲載されています。
大不整合は世界各地でみられ、先カンブリア時代の大陸でつくられた岩石層の上に、カンブリア紀に浅い海で堆積したとみられる層が乗っています。アメリカのグランドキャニオンなどでは地上に露出しています。下の写真では、断崖の一番下、コロラド川が流れる地層のすぐ上のあたりに大不整合が存在しています。

アメリカ、ウィスコンシン大学の Shanan Peters とポモナ・カレッジの Robert Gaines は、北アメリカ大陸830か所の大不整合の地層から採取した2万点以上の岩石サンプルを分析し、この時代に何が起こったのかを調べました。すると、大不整合が形成された時代、大陸の周辺部では海進と海退がくり返され、海の化学環境が激変したことがわかりました。大陸性の地殻が浸食されて、カルシウム、鉄、カリウム、ケイ素などの成分が大量に海に流れこんだからです。その結果、生物はリン酸カルシウムの骨格や炭酸カルシウムの殻をつくったり、放散虫が骨格となる二酸化ケイ素を取りこむことができるようになったのではないかと、二人は推察しています。
カンブリア紀の大爆発がなぜ起こったのか、生物が殻や骨格をもつようになったのはなぜかなど、この時代に関する疑問はたくさんありますが、まだよくわかっていません。海水の化学成分の激変がそのトリガーになったという今回の論文は、きわめて興味深いものです。

カンブリア紀大爆発というこの生命進化上の大イベントと、カンブリア紀とその前の時代の地層との間にみられる「大不整合」を関連づける論文が、『ネイチャー』誌の4月19日号に掲載されています。
大不整合は世界各地でみられ、先カンブリア時代の大陸でつくられた岩石層の上に、カンブリア紀に浅い海で堆積したとみられる層が乗っています。アメリカのグランドキャニオンなどでは地上に露出しています。下の写真では、断崖の一番下、コロラド川が流れる地層のすぐ上のあたりに大不整合が存在しています。

アメリカ、ウィスコンシン大学の Shanan Peters とポモナ・カレッジの Robert Gaines は、北アメリカ大陸830か所の大不整合の地層から採取した2万点以上の岩石サンプルを分析し、この時代に何が起こったのかを調べました。すると、大不整合が形成された時代、大陸の周辺部では海進と海退がくり返され、海の化学環境が激変したことがわかりました。大陸性の地殻が浸食されて、カルシウム、鉄、カリウム、ケイ素などの成分が大量に海に流れこんだからです。その結果、生物はリン酸カルシウムの骨格や炭酸カルシウムの殻をつくったり、放散虫が骨格となる二酸化ケイ素を取りこむことができるようになったのではないかと、二人は推察しています。
カンブリア紀の大爆発がなぜ起こったのか、生物が殻や骨格をもつようになったのはなぜかなど、この時代に関する疑問はたくさんありますが、まだよくわかっていません。海水の化学成分の激変がそのトリガーになったという今回の論文は、きわめて興味深いものです。