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2016年は史上最も暑い年だった
2016:Warmest year on record

2016年は気象観測が始まって以来、最も暑い年でした。NASAとNOAAがそれぞれ独立におこなった観測結果で確認されました。1951年〜1980年の世界平均気温にくらべて0.99度C高かったとのことです。

下は、1880年にはじまるNOAAのデータのうち、1950年から2016年までの世界平均気温の推移を切り取ったものです。

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この図を見れば明らかなように、1980年頃から上昇傾向がはじまり、現在に至っています。21世紀に入って、気温上昇は一時的に停滞していましたが、ここ3年間は連続して記録を更新しています。
中国が「宇宙白書」2016年版を発表
China’s Space Activities in 2016

中国が5年ごとに発表している「宇宙白書」の2016年版(『2016中国的航天』)が発表されました。

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これまでの成果と主に今後5か年の計画が述べられています。全文に目を通しましたが、内容に特別目新しいところはなく、中国がこれまで表明してきた野心的な宇宙開発計画が今後も継続して進められていくことが述べられています。

2016年は中国の宇宙開発にとって大きな躍進の年となりました。「白書」が発表される絶妙なタイミングだったといえます。

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2016年には合計22回の衛星打ち上げが行われました。中国の年間打ち上げ回数は2010年以降増えており、2011年、2012年、2015年には19回の打ち上げが行われました。しかし20回を超えたのは2016年が最初です。特に11月は4回、12月は3回という過密スケジュールでした。9月1日に行われた長征4号C による高分10号の打ち上げは失敗したものの、それ以外の21回は成功。その中には、天宮2号および神舟11号の打ち上げが含まれます。

年間の打ち上げ回数は、その国の宇宙活動の規模や活発さの度合いを示す1つの指標にはなるでしょう。その点でみると、中国の宇宙開発はアメリカやロシアに負けないくらい元気だといえます。

また、ロケットについても、長征5号と長征7号の初打ち上げが行われました。前年には長征6号の初打ち上げにも成功しており、新世代の輸送システムが顔をそろえました。

「白書」は国際関係について、まず国連活動の枠内で宇宙を平和的に利用するとした上で、「一帯一路」の国々との協力関係の強化、APSCO(アジア太平洋宇宙協力機構、中国が主導している)の活動の支援、上海協力機構における宇宙分野での協力強化などをあげています。また、二国間協力についてロシア、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)、ブラジル、フランス、イタリア、イギリス、ドイツ、オランダ、そしてアメリカとの関係について述べています。また、アルジェリア、アルゼンチン、ベルギー、インド、インドネシア、カザフスタンとも協力関係を結んだとも述べています。ちなみに、日本とはこのような形で書かれる関係はありません。

「白書」の冒頭には、平和目的や人類への貢献がうたわれていますが、中国の宇宙開発が軍事と一体化しているのは事実であり、宇宙の軍事利用に関して重大な懸念がもたれています。
ジョン・グレン:1921〜2016
John Herschel Glenn:1921〜2016

1962年にアメリカ人としてはじめて地球周回飛行を行ったジョン・グレンさんがなくなりました。

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フレンドシップ7 での飛行については、ここここここに書きました。マーキュリー計画やその頃のソ連との宇宙開発競争に関しては、『ファイナル・フロンティア――有人宇宙開拓全史』に詳しく書いてあります。

グレンさんは1998年、77歳のときにスペースシャトル、ディスカバリーで36年ぶりの宇宙飛行を行いました。このSTS-95 ミッションでは、向井千秋宇宙飛行士が一緒でした。STS-95 の後、グレンさんは日本を訪れました。このとき、お目にかかる機会があり、「何度も宇宙を往復しているスペースシャトルに比べて、フレンドシップ7 の飛行はどうでしたか」と聞いてみました。「当時はすべてが新しく、最先端だった」というのが、グレンさんの答でした。グレンさんの ”cutting-edge” という言葉が印象的でした。まさに時代を切り開いていく飛行だったわけです。

NASA のサイトには、グレンさんの写真がたくさん紹介されています。いくつかを見てみましょう。

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訓練中のグレンさん。後ろにあるのがフレンドシップ7 です。

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打ち上げの日、フレンドシップ7 に乗りこむグレンさん。

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フレンドシップ7 で飛行中のグレンさんです。グレンさんは地球を3周して帰還しました。

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STS-95 ミッションのために、ジョンソン宇宙センターで訓練するグレンさん。NASA に戻ってきたグレンさんに、スタッフもうれしそうです。

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アメリカの有人宇宙飛行の2人のレジェンドです。左がジョン・グレンさん、右がニール・アームストロングさん。2012年2月、フレンドシップ7 飛行50周年記念式典の際の写真です。アームストロングさんは2012年8月になくなりました。
『理科年表 平成29年』
Chronological Scientific Tables 2017

『理科年表 平成29年』(丸善)が発売になっています。

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理化学研究所のグループが発見した113番目の元素の名前について、IUPAC(国際純正・応用化学連合)は11月30日に、日本の提案通り「ニホニウム」に決定したと発表しました。『理科年表 平成29年』の「元素の周期表」では、まだ「Uut」(ウンウントリウムと読みます)というIUPAC が決めた一時的な名前になっていますが、来年版ではいよいよ「ニホニウム」「Nh」が表記されることになります。

日本の研究者にとって、『理科年表』に載るようなデータを出す研究は、大きな目標になっています。まして今回は世界中の人が使うことになる元素の名前です。発見の関係者だけでなく、『理科年表』編集部の感慨もひとしおでしょう。

理科年表は毎年刊行されていますが、新しい版を手にすると、最新のデータがどうなっているか気になります。「太陽の相対黒点数」を見ると、2013年が94.0、2014年が113.3、2015年が69.8となっていました。これによって現在の第24太陽周期の極大期は、当初考えられていた2013年でなく、2014年であったことがわかります。

日本の火山活動について知るには、「日本のおもな火山」「日本の活火山」「最近70年間に噴火した日本の火山」「日本の活火山に関する噴火記録」が役に立ちます。

地震について考えるには、「世界のおもな大地震・被害地震年代表」が参考になります。2004年にインドネシア、スマトラ島沖でマグニチュード9.1の巨大地震が発生しました。ここはプレートの境界で、インド・プレートがユーラシア・プレートの下にもぐり込んでいます。「世界のおもな大地震・被害地震年代表」によると、スマトラ沖では、2004年の巨大地震後、2005年、2007年にマグニチュード8以上の地震が発生しています。さらに2009年、そして2010年には2回、マグニチュード7以上の地震が発生しています。震源の位置も載っていますので、地図にプロットしてみると、これらの地震はプレート境界に沿っていることがわかります。2004年の巨大地震に誘発された地震と考えることができます。

日本でも2011年の東北地方太平洋沖地震の後、これに誘発されたと考えられる地震が今も発生しています。今後も注意が必要であることを『理科年表』は教えてくれます。
トランプ政権の宇宙政策はどうなるか
Space exploration under President Trump

トランプ政権の宇宙政策がどうなるか、少し考えてみました。選挙中の演説などから推測すると、オバマ政権時代の宇宙政策は大きく方向転換するでしょう。NASA の宇宙探査計画は強化され、宇宙事業への企業参入が加速するでしょう。一方、地球科学ミッションは大幅に縮小されます。そして、月が改めて脚光を浴びることになると思われます。

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まず、2009年にオバマ大統領が就任した時のことを思い出してみましょう。オバマ大統領は有人宇宙探査に関する新たな政策を諮問するため、オーガスティン委員会を組織しました。委員会は、探査の最終目標を火星とするものの、そこに至る道筋は月を経由するだけでなく、小惑星やラグランジュ点もあるという「フレキシブル・パス」という考え方を示しました。これをもとに、オバマ大統領はブッシュ政権下で進められてきた月着陸を目指すコンステレーション計画をキャンセルし、NASA をあてどのない航海へと旅立たせたのでした。

それでもNASA は何年もかけて ”Journey to Mars” というコンセプトを確立させ、当面の目的地が月であるか小惑星であるかには深く立ち入らず、2030年代に火星を目指す準備を進めてきました。コンステレーション計画で開発されていた次世代宇宙船の開発は続けられ、今日のオライオン宇宙船となっています。コンステレーション計画の打ち上げロケットは開発中止されましたが、月や火星を目指せる次世代大型ロケットSLS が新たに開発されています。NASA はSLS に無人のオライオン宇宙船を載せて月を周回するミッションを2018年に予定しています。一方、「フレキシブル・パス」の手前、小惑星ミッションも考えざるを得ず、小惑星を捕獲して地球近くの軌道までもってくるというARM(小惑星リダイレクト・ミッション)も進めています。

オバマ大統領の宇宙政策の特徴は、未来への明確なビジョンを打ち出さなかったこと、アメリカが宇宙空間でリーダーシップを維持することに積極的ではなかったことです。これはオバマ大統領が宇宙にほとんど関心のない大統領であったことも多分に影響していると思われます。ところが、その間に宇宙では大きな地殻変動が起こっていました。スペースX社に代表される新たな民間企業の参入、そして中国の台頭です。

トランプ氏が主張する「偉大なアメリカ(Make America Great Again)」の実現には、宇宙でのリーダーシップは不可欠です。しかし、オバマ政権が続けてきた宇宙政策では、アメリカがリーダーシップを発揮することはできないと、トランプ氏は考えています。「ドナルド・トランプと私は、アメリカの宇宙政策を再び偉大なものにするプランをもっている」。10月31日、副大統領候補(当時)のマイク・ペンス氏は、ケネディ宇宙センターやケープカナヴェラル空軍基地のあるフロリダ州スペースコーストでこう演説しました。ペンス氏がここを遊説場所に選んだのには理由があります。スペースコーストは2011年のスペースシャトル退役後しばらくは閑古鳥が鳴くほどでしたが、現在はロケットや宇宙船、人工衛星など宇宙産業の工場が集中し、新たなブームを迎えているからです。

ISS(国際宇宙ステーション)への人員・物資輸送は、2018年からはボーイング社、スペースX社、シエラネバダ社が行います。このCOTS(Commercial Orbital Transportation Services)計画は、2004年のブッシュ政権の宇宙政策において、スペースシャトル退役後のISS との往復を商業サービスに任せるという方針のもとにスタートしたもので、今、それが実現しようとしています。さらに衛星打ち上げサービス(スペースX社やブルーオリジン社)、衛星サービス(ワンウェブ社)、宇宙滞在モジュール(ビゲロー社)などの分野でも、新しい企業が続々と宇宙に参入しています。

地球低軌道は民間企業にまかせ、NASA は太陽系探査をもっと強力に推進すべきというのが、トランプ政権の基本的なスタンスです。“NASA could once again reach for the stars”と、トランプ氏は述べています。2025年以降のISS の運用にも、民間企業が大幅に関与することになるでしょう。この ”private-public partnerships” の拡大により、アメリカの宇宙でのリーダーシップは揺るぎないものになります。トランプ氏は雇用創出のため橋や道路を建設するというニューディール的な公共投資を行う姿勢を示していますが、広大なフロンティアを目指す宇宙産業の振興は、多数の雇用創出にもつながります。

NASA の宇宙探査計画、特に有人宇宙探査計画を加速するための財源には、NASA の地球科学ミッションの予算が充てられるのではないかと憶測されています。共和党には、二酸化炭素排出による地球温暖化を作り話であると信じている人が多く、トランプ氏もその1人かもしれません。地球温暖化が世界的に注目されることになったきっかけの一つは、NASA のゴダード宇宙科学研究所のジェームズ・ハンセンが、1988年に議会で行った証言です。そのため、共和党の一部の人たちに、NASA の地球科学ミッションはあまり評判がよくありません。

NASA の地球科学部門の年間予算はNASA 全体の約1割で、約19億ドルです。JAXA 全体の年間予算を上回る規模です。これを探査部門に投入しようというのです。新たな財源を手当てせずに宇宙産業の振興と雇用創出を実現するという、いかにもビジネスマン的な発想です。トランプ氏らが「後方支援業務」とよぶNASA の地球科学ミッションの多くは、NOAA(海洋大気庁)とUSGS(地質調査所)に移管される可能性があります。また、地球観測衛星による環境監視の商業サービスがより活発になると思われます。

小惑星ミッションARM はキャンセルされるのではないでしょうか。そのかわり、NASA はまず月を目指すことになるでしょう。

月は将来の火星有人探査の技術を習得する上でも最適な環境です。さらに、中国は月探査計画を着々と進めており、有人月着陸も計画しています。その意図が月の資源獲得にあるとの指摘もあります。月資源の採取や利用に関する国際的な取り決めはまだできておらず、このままでは中国が既得権を握ってしまう心配があります。トランプ政権はこの問題に取り組まねばなりません。

トランプ政権の外交政策はまだよくわかりませんが、ウクライナやシリアの問題で冷え込んだロシアとの関係は改善される可能性があります。一方、中国との関係は微妙です。こうした動きや、宇宙でのリーダーシップを求めるアメリカの姿勢は、ISEF(国際宇宙探査フォーラム)やISECG(国際宇宙探査協働グループ)で検討されている国際宇宙探査計画にも影響してくる可能性があります。

トランプ政権は、軍事面でも宇宙で圧倒的な優位に立つための政策を取るでしょう。国防総省は特に、中国が開発を進める衛星破壊のための高エネルギー兵器や極超音速滑空飛翔体に神経をとがらせています。前者はレーザーや粒子ビームなどで衛星を攻撃する兵器です。アメリカでは、1980年代に進められたスターウォーズ計画(SDI)が中止されて以降、この分野の研究はほとんど行われていません。また中国が開発中の極超音速滑空飛翔体WU-14 は、マッハ10ものスピードで大気圏に再突入して核攻撃を行う兵器で、これが実現すれば、アメリカのミサイル防衛システムを突破することが可能といわれています。中国に対して遅れをとっている分野に資金が投入され、DARPA(国防高等研究開発局)や防衛産業で新たな研究開発がはじまることになるでしょう。

これまで述べたことが、来年以降どれだけ実現していくかは、今後の成り行きを見守るしかありません。しかし、トランプ政権が目指そうとしている宇宙の姿が、ここから大きく外れていくことはないと思われます。

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