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中国「宇宙強国」への野望とアメリカの「第3オフセット戦略」
China’s ambition in Space and the United States’ Third Offset Strategy

『中国、「宇宙強国」への野望』がウェッジ社から発売になりました。

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中国の宇宙開発は近年、飛躍的な発展を続けていますが、その一方で、軍事的利用に対する懸念も高まっています。中国の宇宙開発の全体像や、その目指すところをまとめた本はこれまでありませんでした。本書は中国宇宙開発の歴史から最新の成果、今後の野心的な計画、さらにはその軍事的側面までをまとめました。また、中国の宇宙開発がいかなる考えの下に、いかなる体制で進められているかにも触れています。

中国の宇宙開発は日本の安全保障にも大きく関係しています。中国に対してどのような立場をとるにせよ、私たちは中国の宇宙開発についてもっと知る必要があります。この本が、皆様にお役に立てばと願っています。

この本では、地球周回軌道から月面までの支配権をめさす人民解放軍の戦略について触れています。これを読んでいただければ、中国がパワフルな宇宙計画によってアメリカをしのぐ軍事強国を目指していることがおわかりになると思います。では、こうした動きに対してアメリカはどうしているのでしょうか? 

これに関しては、この本のテーマではないので触れていませんが、当然のことながら、アメリカでは中国に対抗する新たな動きがはじまっています。それが「第3オフセット戦略」です。

第3オフセット戦略が正式にスタートしたのは、2014年11月に発表された国防総省の「国防革新イニシアティブ」(DII)によってですが、その構想は2012年にできあがっていました。第3オフセット戦略はロシアと中国に対して通常兵器による圧倒的な軍事能力をつくりあげ、それを戦争の抑止力とする戦略を意味しています。特に、近年軍備力を増強し、アメリカの脅威となりつつある中国が主たる対象になっています。

ちなみに、第1オフセット戦略とは、1950年代にヨーロッパにおけるソ連の軍事的優位を核の大量報復戦略にとってくつがえした戦略、第2オフセット戦略とは、アメリカと均衡するまでになったソ連の核戦力に対して1980年代にステルス、精密誘導などのハイテクによって軍事的優位を確立した戦略のことです。第2オフセット戦略の成果が発揮されたのが、1991年の湾岸戦争における「砂漠の嵐作戦」でした。中国人民解放軍はアメリカ軍の行動を分析し、これからの戦争では宇宙が決定的な要素になるという結論に達しました。これが中国に大きなインパクトを与え、人民解放軍は「制天権」を目指す宇宙開発を推進することになったのです。

第3オフセット戦略は今のところまだ非常に幅広い概念で、ひとことで説明するのは困難ですが、先端的な技術の導入により、兵器システムのみならず、軍事作戦、さらには軍の組織そのものにまで革新をもたらすことを目標としています。この戦略の中心人物であるロバート・ワークス国防副長官によると、人工知能と自動化技術によって、人間と機械が協働する新しい戦力がつくられていくとしています。第3オフセット戦略を実現する技術として、具体的にはビッグデータ、ディープラーニング、量子コンピューター、ロボット、自動化・無人化技術、小型化技術、3次元プリンターなどの新しい生産技術などがあげられ、民間企業の技術や基礎研究の成果を積極的に導入していく方針です。また、宇宙アセットの防御、航空やサイバー空間での戦闘能力強化が重視され、極超音速ミサイル、レールガン、指向性エネルギー兵器などの開発も検討されています。

宇宙空間は第3オフセット戦略において非常に重要な位置を占めることになり、2015年9月にJICSpOC(統合省庁間連合宇宙作戦センター)が創設されました。軍とインテリジェンス関連の機関が宇宙で連携する組織です。宇宙状況監視はJSpOC(統合宇宙運用センター)によって行われています。JICSpOC はJSpOC にとってかわる組織ではありません。JICSpOC では当面、主に宇宙空間での作戦の立案やシミュレーションなどが行われる予定です。
マーズ2020の着陸候補地点
Landing Site for NASA's Mars 2020 Rover

NASA は2020年に打ち上げる火星探査機マーズ2020 の着陸候補地点を発表しました。コロンビアヒルズ、ジェゼロ・クレーター、大シルチス北東部です。

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コロンビアヒルズ
火星ローバー、スピリットが探査した場所です。スピリットはグゼフ・クレーターに着陸し、探査を行いました。多くの科学的成果を上げましたが、水が存在した証拠を見つけることができないまま、2010年に活動を停止しました。しかし、その後のデータ解析により、コロンビアヒルズの岩石に、かつて鉱泉が存在した証拠を発見しました。

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ジェゼロ・クレーター
大シルチスとよばれる地域の北東部にあります。約35億年前、ジェゼロ・クレーターには大量の水が流れこみ、湖が形成されていました。鉱物を含む粘土が周囲から運ばれてきて湖底に堆積しました。このクレーターには過去、何度か水が流れこんだと考えられ、原始的な生命が誕生した可能性があると考えられています。

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大シルチス北東部
ジェゼロ・クレーターのすぐ近くの場所です。火星にはかつて活発な火山活動がありました。こうした時代に、このあたりでは地下の熱源が表面の氷を溶かし、湖沼がつくられていました。微生物が繁殖していたかもしれません。

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マーズ2020では火星に生命が存在したかどうかを調べることが、科学ミッションの大きな目的の1つになっています。そのため、生命発生や繁殖に関連した温泉ないし鉱泉が存在したと考えられる場所が候補地点となっています。
2016年は史上最も暑い年だった
2016:Warmest year on record

2016年は気象観測が始まって以来、最も暑い年でした。NASAとNOAAがそれぞれ独立におこなった観測結果で確認されました。1951年〜1980年の世界平均気温にくらべて0.99度C高かったとのことです。

下は、1880年にはじまるNOAAのデータのうち、1950年から2016年までの世界平均気温の推移を切り取ったものです。

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この図を見れば明らかなように、1980年頃から上昇傾向がはじまり、現在に至っています。21世紀に入って、気温上昇は一時的に停滞していましたが、ここ3年間は連続して記録を更新しています。
中国が「宇宙白書」2016年版を発表
China’s Space Activities in 2016

中国が5年ごとに発表している「宇宙白書」の2016年版(『2016中国的航天』)が発表されました。

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これまでの成果と主に今後5か年の計画が述べられています。全文に目を通しましたが、内容に特別目新しいところはなく、中国がこれまで表明してきた野心的な宇宙開発計画が今後も継続して進められていくことが述べられています。

2016年は中国の宇宙開発にとって大きな躍進の年となりました。「白書」が発表される絶妙なタイミングだったといえます。

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2016年には合計22回の衛星打ち上げが行われました。中国の年間打ち上げ回数は2010年以降増えており、2011年、2012年、2015年には19回の打ち上げが行われました。しかし20回を超えたのは2016年が最初です。特に11月は4回、12月は3回という過密スケジュールでした。9月1日に行われた長征4号C による高分10号の打ち上げは失敗したものの、それ以外の21回は成功。その中には、天宮2号および神舟11号の打ち上げが含まれます。

年間の打ち上げ回数は、その国の宇宙活動の規模や活発さの度合いを示す1つの指標にはなるでしょう。その点でみると、中国の宇宙開発はアメリカやロシアに負けないくらい元気だといえます。

また、ロケットについても、長征5号と長征7号の初打ち上げが行われました。前年には長征6号の初打ち上げにも成功しており、新世代の輸送システムが顔をそろえました。

「白書」は国際関係について、まず国連活動の枠内で宇宙を平和的に利用するとした上で、「一帯一路」の国々との協力関係の強化、APSCO(アジア太平洋宇宙協力機構、中国が主導している)の活動の支援、上海協力機構における宇宙分野での協力強化などをあげています。また、二国間協力についてロシア、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)、ブラジル、フランス、イタリア、イギリス、ドイツ、オランダ、そしてアメリカとの関係について述べています。また、アルジェリア、アルゼンチン、ベルギー、インド、インドネシア、カザフスタンとも協力関係を結んだとも述べています。ちなみに、日本とはこのような形で書かれる関係はありません。

「白書」の冒頭には、平和目的や人類への貢献がうたわれていますが、中国の宇宙開発が軍事と一体化しているのは事実であり、宇宙の軍事利用に関して重大な懸念がもたれています。
ジョン・グレン:1921〜2016
John Herschel Glenn:1921〜2016

1962年にアメリカ人としてはじめて地球周回飛行を行ったジョン・グレンさんがなくなりました。

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フレンドシップ7 での飛行については、ここここここに書きました。マーキュリー計画やその頃のソ連との宇宙開発競争に関しては、『ファイナル・フロンティア――有人宇宙開拓全史』に詳しく書いてあります。

グレンさんは1998年、77歳のときにスペースシャトル、ディスカバリーで36年ぶりの宇宙飛行を行いました。このSTS-95 ミッションでは、向井千秋宇宙飛行士が一緒でした。STS-95 の後、グレンさんは日本を訪れました。このとき、お目にかかる機会があり、「何度も宇宙を往復しているスペースシャトルに比べて、フレンドシップ7 の飛行はどうでしたか」と聞いてみました。「当時はすべてが新しく、最先端だった」というのが、グレンさんの答でした。グレンさんの ”cutting-edge” という言葉が印象的でした。まさに時代を切り開いていく飛行だったわけです。

NASA のサイトには、グレンさんの写真がたくさん紹介されています。いくつかを見てみましょう。

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訓練中のグレンさん。後ろにあるのがフレンドシップ7 です。

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打ち上げの日、フレンドシップ7 に乗りこむグレンさん。

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フレンドシップ7 で飛行中のグレンさんです。グレンさんは地球を3周して帰還しました。

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STS-95 ミッションのために、ジョンソン宇宙センターで訓練するグレンさん。NASA に戻ってきたグレンさんに、スタッフもうれしそうです。

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アメリカの有人宇宙飛行の2人のレジェンドです。左がジョン・グレンさん、右がニール・アームストロングさん。2012年2月、フレンドシップ7 飛行50周年記念式典の際の写真です。アームストロングさんは2012年8月になくなりました。

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